アムトラックとアメリカの鉄道

アメリカの鉄道の歴史は古く、1830年代から始まっています。20世紀を迎えると電気機関車が登場し、アメリカの鉄道は隆盛を極めます。その後1920年頃にはアメリカ全土に40万キロメートルの鉄道網を整備しました。しかし、1960年代に入ると航空網の発達や、自家用車の普及、更には乱立する鉄道会社同士の過当競争によりアメリカの鉄道は衰退していきます。そこで、鉄道会社同士の合併や吸収が進むと同時に、公社化が行われ、1971年に現在のアムトラック(Amtrak)正式名称 全米鉄道旅客輸送公社(National Railroad Passenger Corporation)が政府出資の株式会社として設立されました。

アムトラック豆知識

アムトラックとは全米をカバーする鉄道旅客会社です。アムトラック(Amtrak)の名前の由来は、アメリカ(America)+トラベル(Travel)+トラック(Track)の合成語とされる説と、アメリカン・トラック・バイレール(American Track by Rail)に由来すると言う説があります。全米を走っているアムトラックですが、自社で保有している鉄道網はアメリカ北東部のボストン〜ニューヨーク〜フィラデルフィア〜ワシントンDC間のみで、それ以外のレール網はそれぞれの地方の鉄道会社から借りているのが現状です。

車両と座席の種類

アムトラックの車両や座席には走る路線や、走る地区によっていくつか種類があります。 2階建て寝台車の「スーパーライナー」「ヴューライナー」、長距離食堂車両、短距離食堂車両、長距離ラウンジ車両、短距離ラウンジ車両、荷物車両などです。 座席には、一般座席の「コーチ」、高速車両向けの「ビジネスクラス」「ファーストクラス」、寝台車両では二人用の個室でグレードの高い順に「ベッドルーム」「ルーメット」、4人用の個室では「ベッドルーム・スウィート」「ファミリー・ベッドルーム」、車イスで利用できる「アクセシブル・ベッドルーム」などがあります。

アムトラックの路線状況

アムトラックはシカゴを分岐点に放射状に伸びていて、大まかに分けると、東地区の路線と、西地区の路線に分かれています。

アムトラック東地区路線

アムトラック東地区で有名なのは「北東回廊線」ですが、それ以外にも有名な、主要9路線を紹介します。ちなみに、アムトラックで電化されているのは、北東回廊線だけです。

アセラ(Acela Express)

北東回廊線を走る、アムトラック(アメリカ)の新幹線ともいえる高速鉄道で、2000年に開通し、アムトラックの主力路線となっています。ボストン〜ニューヨーク〜フィラデルフィア〜ワシントンDCを結んでいます。最近では安全性を認められ、利用客が飛行機からアセラにシフトする傾向にあります。ファーストクラスとビジネスクラスのみの座席設定で、乗り心地もよく、快適な移動手段となっています。1時間に2〜3本の運行です。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。
 

メトロライナー(Metroliner)

アセラの登場以前のアムトラック北東回廊線の主力列車です。運行区間もアセラと同じなため、現在は運行本数が1時間に1本程度に縮小されました。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

リージョナル(Regional) 

アムトラック北回廊線を走る各駅停車の鉄道です。ニューヨーク〜ワシントンDC間でアセラより40分余計にかかります。ワシントンDCより先のリッチモンドまで行く列車もあります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

クレセント(Crescent) 

アムトラック南東部を走るスーパーライナーで、ニューオリンズ〜アトランタ〜ニューヨークを結び、全長2,221キロです。ニューヨーク〜ニューオリンズ間の所要時間は約18時間です。ニューオリンズが別名クレセント(三日月)シティーと呼ばれたことから、この名前がつきました。アパラチア山脈沿いに走り、ポンチャートレイン湖を横断します。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

レイクショア・リミテッド(Lakeshore Limited) 

アムトラック北東部を走るスーパーライナーで、ニューヨーク・ボストン〜バッファロー〜シカゴを結び、全長約1,500キロです。ニューヨーク〜シカゴ間の所要時間は約20時間です。エリー湖沿いを走り、アルバニーで、ボストン行きとニューヨーク行きに分かれます。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

アディロンダック(Adirondack)

アムトラックでも数少ない国際列車で、ニューヨーク〜カナダのトロントを結び、全長610キロを約10時間かけて走っています。ニューヨーク州を南北に縦断し、ハドソン川、シャンブレーン湖沿いに走ります。1日1本の運行です。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

シルバーサービス(Silver Service)とパルメット(Palmetto) 

アムトラック東南部を走るヴューライナーです。ニューヨーク〜フロリダ・マイアミ又はジョージア・サバンナを結んでいます。ニューヨークからタンパ経由でフロリダを結ぶシルバースター、ニューヨークからチャールストン経由でフロリダを結ぶシルバーメテオ、ニューヨーク〜サバンナを結ぶパルメットがあります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

ペンシルバニアン(Pennsylvanian) 

アムトラック東部の、ペンシルバニア州ピッツバーグ〜ニューヨークを結ぶ日中運行の列車で、全長710キロを約9時間かけて運行しています。ホースシューカーヴと呼ばれるU字型のカーブが印象的です。座席の種類は、ビジネスクラス、コーチ、カフェカーになります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

エンパイア・サービス(Empire Service) 

アムトラック東部、ニューヨーク〜ナイアガラの滝を結んでいます。アムトラックでは列車番号を、北行きと東行きは偶数、南行きと西行きが奇数、と決まっていますが、このエンパイア・サービスとカリフォルニア州を走るパシフィック・サーフライナーは逆の番号を使っています。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

アムトラック中部地区路線 

アメリカ中部を縦断する2本のアムトラックを紹介します。 

シティー・オブ・ニューオリンズ(City of New Orleans) 

アムトラック最大のハブであるシカゴからメンフィスを経由しニューオリンズまでを、南北に縦断しているスーパーライナーです。ミシシッピー川沿いの全長1800キロを19時間かけて走ります。ブルースのシカゴ、プレスリーのメンフィス、ジャズのニューオリンズと音楽ファンを魅了します。寝台車、コーチ、食道車両、展望ラウンジ車両があります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

テキサス・イーグル(Texas Eagle) 

シカゴから、ミズーリ州〜アーカンソン州〜テキサス州ダラス〜フォートワース〜オースティン〜サン・アントニオへと走る長距離列車です。全長2,089キロを約32時間かけて運行します。ヒューストンへはテキサス州ロングビュー駅からアムトラックバスが出ています。寝台車、コーチ、食道車両、展望ラウンジ車両があります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

アムトラック西地区路線 

アメリカ西海岸は、東部に比べアムトラックがあまり普及していません。しかし、観光ルートが発達しており、魅力的な路線もいくつかあります。ここでは6路線を紹介します。 

コースト・スターライト(Coast Starlight) 

アムトラック西地区路線で、最も見所の多い路線で、アメリカ西海岸を南北に縦断しています。ロサンゼルス〜サンノゼ〜オークランド〜サクラメント〜セーラム〜ポートランド〜オリンピア〜シアトルを結んでいます。南部では雄大な太平洋沿いに進み、北部ではカスケード山脈の中、と変化に富んだ景観が素晴らしく、観光に向いています。また、サンノゼは別名シリコンバレーと呼ばれIT産業の中心になっています。その他にもワシントン州の州都オリンピアやオレゴン州の州都エーラム、カリフォルニア州の州都サクラメントなど見所満載です。全長2,230キロを35時間かけて運行します。寝台車、コーチ、食道車両、展望ラウンジ車両、パシフィックパーラーカーがあります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

エンパイア・ビルダー(Empire Builder) 

シカゴからアメリカ西部のシアトル・ポートランドを結ぶアムトラックでも有名な長距離列車です。カナダとの国境線と並行して走るアムトラックで、グレイシャー国立公園、オレゴンの雄大な自然、コロンビア川、全米最長トンネル「カスケードトンネル」、ロッキー山脈越えとアムトラックの中で最も景色のよい路線です。また、グレートノーザン鉄道の後を受けた形でアムトラックが運行していて、各駅舎にも歴史や趣を感じさせます。スポーケン駅でシアトル行きとポートランド行きに別れ、全長3,600キロを45時間かけて運行しています。寝台車、コーチ、食道車両、展望ラウンジ車両があります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

カリフォルニア・ゼファー(California Zephyr) 

アメリカ中央部をシカゴからサンフランシスコまで横断する、アムトラックでもっともメジャーな長距離路線です。雄大なロッキー山脈を超え、ネブラスカ州〜コロラド州〜ユタ州に見られる渓谷は素晴らしいの一言です。特にロッキー山脈では標高3,000メートル近くまで登り、フレーザー・ウィンターパーク駅は全米一高い場所にあります。通過する主要都市はプリンストン、バーリントン、オマハ、デンバー、ソルトレイクシティー、リノ、グレンウッド・スプリングスなどです。全長3,900キロを約55時間かけて運行しています。寝台車、コーチ、食道車両、展望ラウンジ車両があります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

サウスウエスト・チーフ(Southwest Chief) 

シカゴとアメリカ西部地区を最短で結ぶ長距離列車で、シカゴ〜ロサンゼルスを運行しています。西部開拓時代から使われている「ルート66」沿いに走っていて、アメリカの西部開拓の歴史と、鉄道(サンタフェ鉄道)の歴史を味わうためにも、1度は乗ってみたい列車のひとつです。カリフォルニア・ゼファーのような大自然を堪能すると言うよりも、ルート66を走るコンボイや、フラッグスタッフ駅からグランドキャニオン、ニューメキシコ州のラスヴェガスを観光するといった使い方が良いのではないでしょうか。通過する主要都市はカンザスシティー、トリニダード、ラスヴェガス、アルバカーキ、ギャラップ、ウィンスローなどです。全長3,600キロを43時間かけて運行しています。寝台車、コーチ、食道車両、展望ラウンジ車両があります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

パシフィック・サーフライナー(Pacific Surfliner) 

アメリカ西海岸南部を走るアムトラックで、太平洋に最も近いアムトラックです。カリフォルニア州からの援助を受け運行され、サンディエゴ〜ロサンゼルス〜サンルイス・オビスポ間を運行しています。アムトラックの中でも最も南国気分を味わえる路線になっていて、その殆どを太平洋海岸線沿いに走っています。サンディエゴ〜ロサンゼルス間は本数も多く、利用しやすい列車です。通過する主要都市はディズニーランドのあるアナハイム、ロサンゼルス、サンタバーバラなどです。全長560キロを8時間かけて運行しています。ビジネスクラス、コーチ、ラウンジ車両があります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

アムトラック・カスケード(Amtrak Cascades) 

アメリカ西北部を走るアムトラックです。オレゴン州ユージーン〜シアトル〜カナダ・バンクーバーを結ぶ短距離列車です。他のアムトラックとは雰囲気が違い、スペイン風の車両編成や、車内のサービスが特徴的です。通過する主要都市はアルバニー、オレゴンシティー、ポートランド、バンクーバー、シアトルなどです。ビジネスクラス、コーチ、ビストロ車両、食道車両があります。全長750キロを10時間かけて運行しています。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。 

 

アムトラック・アメリカ横断路線 

アムトラック最長の長距離路線サンセット・リミテッドです。 

サンセット・リミテッド

アメリカを唯一東西に横断する列車で、その運行距離、時間、車両の長さ、などなどいろんな意味でアムトラックナンバー1の路線です。フロリダ州オーランド〜ロサンゼルス間をメキシコとの国境沿いに3泊4日かけて運行されています。運行距離、時間が長いだけに遅延も多いようで、利用する際には充分に時間的な余裕を持って利用しましょう。見所は海抜がマイナス72メートルのカリフォルニア州ソルトン湖や、メキシコとの国境の町エル・パソ、NASAで有名なヒューストン、ニューオリンズのミシシッピー川、などなど盛りだくさんです。通過する主要都市はジャクソンビル、マジソン、タラハッシー、モービル、ガルフポート、ニューオリンズ、レイクチャールズ、ヒューストン、サンアントニオ、エル・パソ、パームスプリングスなどです。全長4,420キロを68時間かけて運行されています。寝台車、コーチ、食道車両、展望ラウンジ車両があります。なお時刻表はAmtrak社ホームページを参照してください。なお、2006年10月現在ハリケーンの影響でマイアミ〜ニューオリンズ間は運休しています。 

アムトラックの利用方法

アムトラックはインターネットを利用してチケットの予約が出来ます。また、早めに予約すると割引もあります。ただ、予約の変更や解約はインターネットでは出来ないため電話での対応となっているので、充分な計画が必要です。計画を立てる際には、時間的な余裕を充分とる必要があります。アムトラックは、路線の殆どを他の鉄道会社から借りているため、日本のように緻密なダイヤを組むことが出来ません。そのためどうしても遅延が発生しやすくなってしまいます。のんびりゆったり楽しむことをお勧めします。

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