下水道が整備され、トイレの水洗化が進んでここんとこトンと見なくなったバキュームカー。幼い頃はどこの家でも汲み取り式のトイレでこのバキュームカーにお世話になったものです。バキュームカーが汲み取りしているときはもちろんのこと、あの車が走っているだけでなんとなく例の臭いがしていましたが、バキュームカーの存在がなければ生活をしていけないも同然の時代がありましたね。子供たちはおもしろがってバキュームカーが汲み取りをしていると「臭い臭い!」と言いながらもその様子を見ずにはいられなかったあの頃を懐かしく思い出します。
今の子供たちはバキュームカーという車を知っているのでしょうか。昔の子供はなぜかバキュームカーが好きで、見かけると走ってついていったりトミカのバキュームカーのミニカーで遊んだりしていた時代がありました。バキュームカーとは和製英語で吸引する機械と浄化槽に溜まったものを吸い上げたあとに溜めるタンクを搭載した車です。昔はバキュームカーが走り去った跡になんだか怪しげな液体が落ちていたり、ホースからダラダラと液体を撒き散らしながら走っている姿をたまにみかけたものです。最近ではタンクとホースを囲って、一見バキュームカーとはわからないようになっている地域もあるようですね。汲み取り式トイレの減少のせいかあまり見かけなくなってしまいましたが、中古車会社のホームページを見るとまだまだバキュームカーの需要はあるみたいですね。ほとんどのバキュームカーが画像の上に売約済みのマークがあります。
タンクの中を真空にして、糞尿と空気を一緒に吸い込むことで溜め込んでいく仕組みになっています。特殊車両なので様々な装置がバキュームカーの表面にはついています。中のタンクを真空にするための真空装置がついています。脱臭装置で汲み取られたものの臭いを排出します。タンクFUELゲージでタンク内にどれだけ溜まったか確認できますが、タンクの上に透明なタンク点検窓もありますので、中を直接確認・点検できます。掻きだし棒も常備していて、ホースが詰まるとこれで掻き出していました。ホースは短いホースがつなぎ合わされたもので、詰まっている箇所をはずして掻きだします。車両本体はどうしても腐食が激しくなるため、耐用年数はとても短いです。
バキュームカーのタンクの大きさも様々で4t、7t、10t、まだまだありますが、皆さんが思っているようにバキュームカー=汲み取り式トイレ・・・ではありません。水害になると溢れ出た水を吸い上げたり池の水を吸い上げたりもします。レンタルしている会社もあるみたいですね。インドネシア・スマトラ沖大地震で被害を受けたスリランカに日本は9台のバキュームカーを輸送しました。災害の地でバキュームカーは活躍したのです。
驚くのが、専門中古車業者がバキュームカーを販売するのはわかります。ホームページを開設してネット販売するのも今の時代は普通のことですね。けれど、インターネットオークションでバキュームカーを見かけたときは驚きました。車やバイクもオークションに個人で出される時代ですから、業者が出してもおかしくはありませんが、まさかバキュームカーが出ているとは・・・ちゃんとエンジンルームや細部に渡る画像も載っていました。トミカなどで出しているバキュームカーのミニカーには形がレトロなものも多く、懐かしさを感じます。価格もさほど高くないので自分が男性だったら思わず買ってしまうかもしれません。いや。女性だからといって買ってはいけないということはないのですけどね。
幼い頃、実家の辺りはどこも汲み取り式トイレでした。トイレというより便所といった方が合っています。バキュームカーがくると近所中のトイレを汲み取って行くのでしばらくそこに留まります。例の臭いが漂ってくると妹とトイレに走ります。汲み取る様子をみるためです(子供ってどうしてこんなことが好きなのでしょう)。便層の蓋が開けられると中が明るくなり、何もかも丸見えになります。そこに太いホースが入れられてガボガボと音を立てながらみるみるうちに内容物がなくなっていきます。それが終わると急いで外に飛び出します。汲み取り中のホースを眺めるためです。まるで生き物のようにウネウネと動くホースが珍しくてたまりませんでした。辺り一面ものすごい臭いが充満して、バキュームカーが来ると「便所汲み!」などといってバカにしていました。今思うと、汲み取りしてくれる人がいるから、バキュームカーがあったから安心してトイレを使えていたのですよね。汲み取りされずにあふれそうになっているトイレを友人宅で一度見ましたが、どうやって用をたしているのか謎でした。汲み取りに料金を払っていることも、大人になるまで知りませんでした(早い時期に水洗に変わったので)。パッカー車やバキュームカーに乗ってお仕事されている人は大変だと思いますし感謝もしています。それでも、今でもたまにバキュームカーを見かけてあの臭いが漂ってくると顔をしかめてしまいます。人間て勝手ですね。
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